在日韓国人・朝鮮人(特別永住者)の方の帰化条件
在日韓国人・朝鮮人と言われるのは韓国籍の方と朝鮮籍の方となります。
よくお聞きする帰化したい理由は、以下のような場合です。
・結婚する前に日本国籍が欲しい
・学生の場合、就職前に日本国籍になっておきたい
・子供が生まれたので、それを機に帰化したい
・公務員になりたいので日本国籍が欲しい等
日本で生まれた特別永住者の方は、余程のことがない限り(重い犯罪等)、帰化申請すると許可される可能性が高いです。
一般の外国人の方の場合、帰化の7つの条件をすべて満たさないと帰化できないのに対し、在日韓国人・朝鮮人(特別永住者)の方(簡易帰化の対象者)は、帰化の条件(住所条件)が一部緩和されるなど、帰化へのハ―ドルが下がります。
ハードルが下がったとはいえ、手続が簡素化されるわけでもなく、帰化申請の書類のボリュームの多さは、一般の外国人と同じか、それ以上となりますので、申請者にとっては、時間と労力を取られてしまうことには変わりはありません。とはいえ、きちんと申請のための資料を集めて、申請書を正しく作成させ、申請が法務局に受付されれば、普通であれば許可されるので、あまり気負わず、計画的に申請に向けて準備を進めてください。
帰化の7つの条件
在日韓国人・朝鮮人の方は、住所条件以外の条件(2から7)を満たす必要があります。特に3の素行条件、4の生計条件は注意を要しますので、下記をご参考にしてください。
2能力条件(国籍法第5条第1項第2号)
年齢が20歳以上であって、かつ、本国の法律によっても成人の年齢に達していることが必要です。
令和4年(2022年)4月1日から,「20歳以上」が「18歳以上」に変更されました。
本国法上18歳で成年になる方は、18歳に達した時点で日本においても成年であり、能力条件を満たすことになります。ちなみに、韓国の成人年齢は19歳ですので、韓国籍をお持ちの方が18歳に達しても,本国法上ではまだ成人しておらず、能力条件を満たさないことになります。
ただし、次の場合は、未成年の特別永住者も帰化できます。
1特別永住者の未成年の方が、ご両親と一緒に帰化申請する場合
2既に父又は母が帰化している場合
3素行条件(国籍法第5条第1項第3号)
素行が善良であることが必要です。素行が善良であるかどうかは、犯罪歴の有無や態様、納税状況や社会への迷惑の有無等を総合的に考慮して、通常人を基準として、社会通念によって判断されることとなります。
簡単に言えば、あなたは真面目(まじめ)な人でないと帰化申請できませんという意味です。
具体的には、
1税金や健康保険料、年金などの支払いを滞りなくしている
2重大な交通違反や前科等がないこと
などがあげられます。
税金
税金の支払いで、特に住民税には気をつける必要があります。給料から天引きされている方(特別徴収)は特に問題はありませんが、そうでない方(普通徴収)で、住民税を払い忘れている場合です。それが判明した時は、出来るだけ早く完納してください。完納すれば、納税証明書には未納税額は出てきません。
夫婦で、本人だけが帰化申請をしている場合でも、申請書類として配偶者の方の納税証明書が必要になってきますので、配偶者の方が住民税を滞納している場合、審査が通らないので注意が必要です。
会社経営者や個人事業主の方は、会社の税金、個人事業としての税金と個人の税金の両方についてきちんと税金を支払っていることが求められます。
年金
会社員で厚生年金が給料から天引きされている方は、特に気を付ける必要はないと思いますが、会社員に限らず、厚生年金を支払っていない方は、代わりに国民年金を支払う必要があります。
健康保険及び公的年金制度に加入していることは帰化許可申請において必須です。未加入の方は,法令遵守のためにも,適正に加入するようにして下さい。
平成24年7月9日より、帰化申請の際に年金の支払いを証する書面を求められるようになりました。よって、原則直近1年分の支払いが証明されないと帰化申請が受理されません。
交通違反
交通違反は、基本的には過去5年間の違反経歴を審査されることになります。あくまでも目安ですが、過去5年間で、軽微な違反5回以内だったら問題はないと思われます。
軽微な違反とは、時速30km未満の速度超過や、信号無視、携帯電話の使用や車両の定員オーバーなどが対象となります。(青切符の対象)
車を運転していて、一般道で時速30km以上のスピード超過、高速道路で時速40km以上のスピード超過、無免許運転や飲酒運転など、悪質な交通違反を犯した場合は、(赤切符の対象)、相当期間経過しないと帰化は認められません。
前科
不起訴であれば特に問題はありませんが、例えば10万円前後の罰金刑なら、あくまでも目安にはなりますが、2-3年の経過、20~30万円の罰金刑であれば、3年-5年の経過で帰化申請ができるようになります。
4生計条件(国籍法第5条第1項第4号)
生活に困るようなことがなく、日本で暮らしていけることが必要です。この条件は生計を一つにする親族単位で判断されますので、申請者自身に収入がなくても、配偶者やその他の親族の資産又は技能によって安定した生活を送ることができれば、この条件を満たすこととなります。
毎月安定的な収入があることを審査されます。貯金は関係ありません。目安としては、月に18万円~20万円あれば問題ないと思います。
住宅ローンや、車のローンなどの借金については、普通に返せる額の範囲内であり、きちんと定期的に返済を行っているのであれば、特に問題はありません。
また、専業主婦の場合でも、配偶者に安定的な収入があれば帰化が可能です。
5重国籍防止条件(国籍法第5条第1項第5号)
帰化しようとする方は、無国籍であるか、原則として帰化によってそれまでの国籍を喪失することが必要です。なお、例外として、本人の意思によってその国の国籍を喪失することができない場合については、この条件を備えていなくても帰化が許可になる場合があります(国籍法第5条第2項)。
日本では二重国籍を認めていません。
各国の国籍法によっては、兵役を終えてない場合や租税債務がある場合に、国籍を喪失できない可能性があります。審査が終わって帰化許可がほぼ確実であっても国籍喪失ができなければ日本への帰化は許可されません。それぞれ母国で事前の確認をすることが必要です。
在日韓国人・在日朝鮮人の方の場合、特に問題になることはありません。
6憲法遵守条件(国籍法第5条第1項第6号)
日本の政府を暴力で破壊することを企てたり、主張するような者、あるいはそのような団体を結成したり、加入しているような者は帰化が許可されません。
どういう者かというと、テロリストとか、暴力団員とかが対象となります。
7日本語能力
日常生活に支障のない程度の日本語能力(会話及び読み書き)を有していることが必要です。
日本語能力については、日本語能力試験でN4ぐらい持っていれば問題はないと思います。N4では、日常生活に役立つ会話ができ、簡単な文章が読み書きできる能力が求められています。
(小学生3年生程度)
家族全員で申請したけれど、日本語能力が十分と認められずに1人だけ不許可になるというケースもありますので、十分注意してください。
すべての申請人が対象ではないのですが、申請や面談、面接の段階で、審査官に会話に少し問題がありそうだなと判断されると、日本語能力テストが課されます。
帰化しようとお考えの方で、日本語がほとんど話せない、読み書きが出来ない方は、日本語をある程度まで勉強することを強くお勧めします。
在日韓国人・在日朝鮮人の方の場合、特に問題になることはありません。
よくある質問(Q&A)
Q1在日朝鮮籍で書類が取れませんが帰化できますか?
A1在日朝鮮籍の方で、韓国国籍がない方は、韓国の本国書類が取れないので、この場合は、日本で集められる書類だけで申請を進めることができます。朝鮮籍から韓国籍に変更しなくても、帰化申請が可能です。
Q2帰化申請を進めるために民団を使う必要がありますか?
A2特に必要はないと思います。
Q3書類を韓国まで取りにいく必要はありますか?
A3韓国まで書類を取りに行く必要はありません。日本の韓国領事館で必要書類を集められます。
郵送で請求することもできます。
Q4韓国籍ですが、兵役を終えないと帰化できませんか?
A4日本生まれの特別永住者は兵役義務がないので、帰化できます。
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帰化申請は、時間と労力がかかるので、途中で申請を断念したり、必要となる膨大な資料のリストを目の前にして、最初から帰化をあきらめてしまう方も多くいらっしゃいます。
帰化したくても、帰化の条件が満たされていないために申請が出来ない方が多くいらっしゃる中で、もし、あなた(お客様)が帰化を望んでおり、すべての条件を満たしているなら、それは特別なプレミアムチケットを持っているようなものなので、是非とも帰化申請をされることをお勧めします。もったいないですから。
時間と労力を少しでも軽減できるように、Beyond行政書士事務所では全力でサポートをさせていただきます。先ずは一度ご連絡ください。