経営・管理ビザから永住申請

永住許可の要件については以下の3点がありますが、「経営・管理」の在留資格を既に保有している方が、永住者への在留資格の変更を希望する場合は、下記の(1)(2)(3)の要件のすべてを満たさなければなりません。

要件
(1) 素行が善良であること(素行善良要件)
法律を遵守し、日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいることを意味します。
具体的には次の1、2のいずれにも該当しない者であることを意味します。
1日本国の法令に違反して、懲役、禁錮又は罰金に処せられたことがある者
2日常生活又は社会生活において、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行っている者

該当する者の例
1道路交通法違反等、軽微な法違反であっても繰り返し行っている者が該当します。
(一般的には、過去5年間で5回以上行っている場合が該当します。)
2刑に処せられていなくても、資格外活動許可の制限を超えた就労を行っている場合、(例えば、「家族滞在」の在留資格を有し、資格外活動許可を受けているものの、制限の週28時間をオーバーして就労している場合)素行が善良であると認められない可能性が高いと言えます。
さらに、その場合、本体である「経営・管理」を有している者も、「監督不行届」として違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行っている者に該当しますので注意が必要です。

(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(独立生計要件)
日常生活において公共の負担にならず,その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれることを意味します。

留意点
会社の状況などについて
1「将来において安定した生活が見込まれること」に関しては、経営する会社の安定性と継続性が重要になります。何年も赤字続きであるとか、利益の割に借入金が多いとか、債務超過に陥っている場合等は、この独立生計要件を満たしていないと判断される可能性が高いです。
2経営管理ビザから永住申請したい場合には直近1年に起業(会社設立)していると安定性がないとして不許可リスクが高くなります。最低でも経営・管理ビザを取得してから経営を開始し、借入金なしで黒字が2年続いた時点で永住申請をすることをお勧めします。
3経営者の給料、いわゆる役員報酬の年収は過去3年間にわたって概ね300万円以上ないと、不許可になる可能性が高いです。なお、世帯年収は、扶養一人当たり70万円プラスとみて、例えば、扶養人数が1人(妻のみ)の場合は、300+70=370万円、扶養人数が2人(妻と子一人)であれば、440万円の年収があることが望まれます。
4申請人(本人)が無職で働いていない場合でも、配偶者が独立生計要件を満たせば、永住申請が可能な場合もあります。独立生計要件は必ずしも本人に備わっていることを要求されていません。

(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(国益適合要件)(アからエ)

ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし,この期間のうち,就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。

日本継続在留要件になりますが、引き続き10年以上日本に住んでいて、その中の直近5年以上は
就労資格、ここでは「経営・管理」の在留資格で経営していることが必要になります。

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格2年+「経営・管理」の在留資格3年の合計5年でも大丈夫です。

留意点
1「引き続き」とは、在留資格が途切れることなく、在留を続けることをいいます。例えば、再入国許可

(みなし再入国許可を含む)を受けて一時的に海外に行く場合は、在留が継続していることになりますが、当該許可を受けずに出国したりすると、在留が継続していることにはなりません。
2中長期的に日本から出国している場合には注意が必要です。
年間で100日以上又は1回の出国で3ヶ月以上の出国がある場合には、「引き続き」と判断されず、日本における生活の基盤がないとされる可能性が高いです。合理的な理由がない限り、永住許可がされない可能性があります。
許可される可能性を高めるためにも、合理的な理由を説明するとともに、家族状況や資産状況(日本の不動産の有無)等も加えて説明すると宜しいでしょう。
実務上は、長期の海外出張が終了して日本に再入国した場合、その後、永住許可申請までに6カ月以上の在留実績を求められる可能性が高いです。
3就労資格に合った活動を継続していることが必要であるため、例えば、2年間会社を経営し、その後、
1年ぐらい休眠などで無職の期間が続き、その後、経営活動を再開し3年経営したとしても、要件は満たされたとは言えません。この場合、あと2年間経営活動をし、合計5年にすることで、要件を満たすことになります。

イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税,公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。

留意点
1納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付とは、住民税や国民健康保険税・国民年金等を指します。各種税金を支払っていることは前提で、納期限を守って支払いをしているかどうかがむしろ重要なポイントとなります。
2特に、国民健康保険税と国民年金については、未加入や納期限を守って支払いをしていない場合は、不許可になります。なぜならば、永住権が許可された後には支払いをしなくなる可能性があり、国益に適合しないものとして審査されるからです。
3経営・管理から永住における税金とは、会社としての税金と個人としての税金(住民税や所得税など)の両方を意味します。
4会社として、各種保険に加入しているかどうかも重要となります。
健康保険、厚生年金などの社会保険、雇用保険、労災保険などの労働保険などに加入しており、各種納税をしていることが必要です。
なお、法人経営者であれば、従業員を雇っていなくても加入義務はありますが、個人事業主の場合は、常勤の従業員を5人以上雇用している場合に、同様に加入義務が発生します。

ウ 現に有している在留資格について,出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。

留意点
1当面の間は、在留期間「3年」を有する場合は、「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱われます。
2「家族滞在」の在留資格を保有している者で、その者の在留期間が1年であっても、本体者が永住許可が相当と判断されるときは、永住許可されます。

エ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。

留意点
1感染症の罹患者又は麻薬、大麻、覚せい剤等の慢性中毒者等が有害となるおそれがあるものとして該当します。

 

 

関連情報

身元保証人
永住許可の申請にあたっては身元保証人が必要となります。
身元保証人と聞くと、連帯保証人をイメージする方が多いですが、連帯保証人の保証内容とは違います。
入管法上の身元保証人は、道義的責任だけを負い、法律的な責任は負いません。すなわち、万が一、
永住を申請する人が法律違反をしても、罰則を受けたり、責任を追及されることはありません。

身元保証人については、日本人か、外国人の場合は、永住者で、安定収入があり、きちんと納税している方にお願いする必要があります。経営・管理の在留資格で日本で住んでいる方は、経営者仲間や友人などにお願いするケースが多いようです。

以前は、身元保証人の課税証明書、住民票・在籍証明書等の提出が求められていましたが、2022年6月より、原則、身元保証書と身分事項を明らかにする書類のみ提出すればよいことになりました。

「身元保証書」の右上には(永住許可申請用)と書かれています。

身分事項を明らかにする書類

、例えば、運転免許証の写し、マイナンバーカードの写し等です。

 

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「永住者」への在留資格変更許可申請は、永住者の在留資格を得ることで、在留活動、在留期間のいずれも制限されないという点で、他の在留資格の変更許可申請よりも慎重に審査する必要があります。
そのため、申請者にとっては、提出書類も多く、準備にかなり時間がかかるため、負担が大きいです。

2019年7月1日からは,健康保険および公的年金の加入記録についても審査されることになり、提出しなければならない資料がさらに増えました。

永住許可申請を行うタイミングや、提出資料が分からなかったり、自分で手続をしていて、どうも思うように事が進まない、途中で挫折してしまったなど、不安や悩みを抱えていらっしゃる方が多いと思います。

これから永住許可申請をお考えの方は、先ずは、Beyond行政書士事務所にご連絡ください。お客様の状況に応じた永住許可申請の時期や要件を判断させていただきます。

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