高度専門職ビザから永住申請

2017年3月に、「日本版高度外国人材」グリーンカードが始まりました。最短で、1年から3年で永住権が取得できるようになりました。

永住許可の要件については以下の3点がありますが、「高度専門職」の在留資格を既に保有している方が、永住者への在留資格の変更を希望する場合は、下記の(1)(2)(3)の要件のすべてを満たさなければなりません。

要件
(1) 素行が善良であること(素行善良要件)
法律を遵守し、日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいることを意味します。
具体的には次の1、2のいずれにも該当しない者であることを意味します。
1日本国の法令に違反して、懲役、禁錮又は罰金に処せられたことがある者
2日常生活又は社会生活において、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行っている者

該当する者の例
1道路交通法違反等、軽微な法違反であっても繰り返し行っている者が該当します。
(一般的には、過去5年間で5回以上行っている場合が該当します。)

(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(独立生計要件)
日常生活において公共の負担にならず,その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれることを意味します。
留意点
1転職した場合、給料が1.5倍~2倍に上がったような、キャリアアップ転職であれば特に問題はありませんが、逆に、転職しても給与が同水準、又は下がってしまったようなケースでは、将来において安定した生活が見込まれるとは判断されない可能性が高いです。
2永住許可申請においては、年収が過去3年間にわたって、概ね300万円以上でないと、不許可になる可能性が高いです。
なお、世帯年収は、扶養一人当たり70万円プラスとみて、例えば、扶養人数が1人(妻のみ)の場合は、300+70=370万円、扶養人数が2人(妻と子一人)であれば、440万円は最低限必要となります。

 

(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(国益適合要件)(アからエ)

ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし,この期間のうち,就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。

「高度専門職」の在留資格の永住許可要件については、出入国在留管理上の優遇措置が講じられています。

在留歴に係る永住許可要件の緩和

永住許可を受けるためには、原則として我が国において10年以上の在留歴を必要とする取扱いをしていますが、高度外国人材については、永住許可申請に必要な在留歴が、次のⓐに該当する場合は3年、ⓑに該当する場合は1年に緩和されます。

ⓐ 永住許可申請の時点におけるポイント計算の結果70点以上の点数を有する高度外国人材で、次のいずれかに該当する者
A 70点以上の点数を有する高度外国人材として3年以上継続して本邦に在留していること
B 3年以上継続して本邦に在留している者で、永住許可申請日から3年前の時点を基準としてポイント計算を行った場合に70点以上の点数を有していたことが認められること

ⓑ 永住許可申請の時点におけるポイント計算の結果80点以上の点数を有する高度外国人材で、次のいずれかに該当する者
A 80点以上の点数を有する高度外国人材として1年以上継続して本邦に在留していること
B 1年以上継続して本邦に在留している者で、永住許可申請日から1年前の時点を基準としてポイント計算を行った場合に80点以上の点数を有していたことが認められること

該当者
Aの要件に当てはまる者は、「高度専門職」の在留資格が許可されている者(1号(イ、ロ、ハ)、2号)或は「特定活動」という在留資格を許可されている者が当てはまります。
この「特定活動」は、まだ「高度専門職」の在留資格が創設されていない時に、高度人材外国人として認められたものに与えられた在留資格で、パスポートに「指定書」というのが貼られています。

Bの要件に当てはまる者は、現在保有している在留資格が「高度専門職」でない人、高度人材外国人としての「特定活動」でもない人が対象となります。
例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格等で日本に滞在している人が当てはまります。

 

イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税,公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。

留意点
1納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付とは、住民税や国民健康保険税・国民年金等を指します。各種税金を支払っていることは前提で、会社員及び会社経営者として、納期限を守って支払いをしているかどうかがむしろ重要なポイントとなります。
2特に、国民健康保険税と国民年金については、未加入や納期限を守って支払いをしていない場合は、不許可になります。なぜならば、永住権が許可された後には支払いをしなくなる可能性があり、国益に適合しないものとして審査されるからです。

 

ウ 現に有している在留資格について,出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。

留意点
1高度専門職の在留資格を許可された者は、一律に入管法上、最長の期間(現時点では5年)が許可されるので、そのまま最長の在留期間をもって在留しているものとして取り扱われます。

 

エ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。

留意点
1感染症の罹患者又は麻薬、大麻、覚せい剤等の慢性中毒者等が有害となるおそれがあるものとして該当します。

 

関連情報
永住許可の申請にあたっては身元保証人が必要となります。
身元保証人と聞くと、連帯保証人をイメージする方が多いですが、保証の内容は、連帯保証人の保証内容とは違います。

永住許可申請用の身元保証書には以下のように記載されています。

私は上記の者の永住許可申請に当たり、本人が本邦に在留中、本邦の法令を遵守し、公的義務を適正に履行するため、必要な支援を行うことを保証いたします。

入管法上の身元保証人は、道義的責任だけを負い、法律的な責任は負いません。すなわち、万が一、
永住を申請する人が法律違反をしても、罰則を受けたり、責任を追及されることはありません。

身元保証人については、日本人か、外国人の場合は、「永住者」で、安定収入があり、きちんと納税している方にお願いする必要があります。

 

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「永住者」への在留資格変更許可申請は、永住者の在留資格を得ることで、在留活動、在留期間のいずれも制限されないという点で、他の在留資格の変更許可申請よりも慎重に審査する必要があります。そのため、申請者にとっては、提出書類も多く、準備にかなり時間がかかるため、負担が大きいです。

2019年7月1日からは,健康保険および公的年金の加入記録についても審査されることになり、提出しなければならない資料がさらに増えました。

永住許可申請を行うタイミングや、提出資料が分からなかったり、自分で手続をしていて、どうも思うように事が進まない、途中で挫折してしまったなど、不安や悩みを抱えていらっしゃる方が多いと思います。

これから永住許可申請をお考えの方は、先ずは、Beyond行政書士事務所にご連絡ください。
お客様の状況に応じた永住許可申請の時期や要件を判断させていただきます。

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