◎定住者ビザ

「定住者」の在留資格は、特別な理由を考慮して居住を認めるのが相当である外国人を受け入れるために設けられたものです。

「定住者」は告示定住告示外定住に分類されます。
告示定住については、在留資格認定証明書が交付されますが、告示外定住については当該証明書は交付されず、他の在留資格からの在留資格変更により、「定住者」の在留資格を得ることになります。

定住者告示は1号から8号(中国在留邦人関係)まであります。
定住者告示3号、4号、5号ハ、6号ハについては、素行善良要件が課されています。

<永住者との比較>
「永住者」の在留資格と比較してみると、活動の制限がないこと及び法務大臣が特別な理由を考慮して居住を認める地位であることにおいて共通していますが、「定住者」は永住者と違って、無期限に日本に在留することはできず、一定の在留期間が指定されます。

 

1 告示定住
【定住者告示1号、2号】
定住者告示1号、2号は、第三国定住による難民の受け入れ対象者を定めたものです。
タイ国内において一時的に庇護されているミャンマー難民又はマレーシア国内に一時滞在している同難民で、それぞれその他の条件を満たした者。

【定住者告示3号】
日系2世及び3世を「定住者」として受け入れるための規定です。
日系人は、現行入管法上、在留資格「日本人の配偶者等」(日本人の子として出生したもの)とあわせて、3世までが受け入れられています。

1日本人の孫
2元日本人の日本国籍離脱後の実子(2世)
3元日本人の日本国籍離脱前の実子の実子である孫(3世)

【定住者告示4号】
定住者告示4号:日系1世が日本国籍を離脱した後に生まれた実子(日本国籍を有しないもの)の実子である孫(3世)
なお、1年以上の在留期間を指定されている定住者(日系3世)の父又は母を持つ日系4世で
、扶養を受ける未成年・未婚の実子は定住者告示6号ハに該当します。

【定住者告示5号イ、ロ、ハ】
定住者告示5号イ:「日本人の配偶者等」の在留資格をもって在留する者で日本人の子として出生したものの配偶者
定住者告示5号ロ:「日系2世・3世以外の定住者」の配偶者
定住者告示5号ハ:「日系2世・3世である定住者」の配偶者

簡略図

【定住者告示6号イ、ロ、ハ、ニ】

定住者告示6号イ:日本人、「永住者」、又は特別永住者の扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子。現行国籍法の下では、日本人の実子のうち、該当するのは、帰化により日本国籍を取得した者の帰化前の子となります。
また、「永住者」、又は特別永住者の実子のうち、日本外で出生した者又は日本で出生後、引き続き
日本で在留していない者が該当します。

定住者告示6号ロ:1年以上の在留期間を指定されている「定住者」(日系2世・3世及びその配偶者は除く)の扶養を受けて生活する未成年で未婚の実子。(素行善良要件がない)

定住者告示6号ハ:1年以上の在留期間を指定されている「定住者」(日系2世・3世及びその配偶者に限る)の扶養を受けて生活する未成年で未婚の実子で素行が善良である者。

定住者告示6号ニ:日本人、「永住者」、又は特別永住者又は1年以上の在留期間を指定されている「定住者」の配偶者(在留資格が「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」である者に限る)の扶養を受けて生活する未成年で未婚の実子。
※1年以上の在留期間を指定されている「定住者」の配偶者のみの実子である者(離婚又は死亡した配偶者との間の子及び非嫡出子)についても、定住者告示6号ニによって上陸が認められることになります。

【定住者告示7号】
日本人、「永住者」、又は特別永住者又は1年以上の在留期間を指定されている「定住者」の子のうち、養子については、日本人の特別養子「日本人の配偶者等」の在留資格で入国・在留できます。)以外は入国・在留は認められていませんが、定住者告示7号は、これらの者に扶養され生活する6歳未満の養子について、「定住者」として上陸を認めることとした規定です。

<注意点>
※「家族滞在」の在留資格においては、6歳以上の養子であっても在留資格該当性が認められます。
※扶養を受けて生活する6歳未満の養子が入国後、6歳に達した場合でも、直ちに在留を否定されず、「定住者」(告示外定住)の在留期間更新が認められ得ます。

【定住者告示8号】
中国在留邦人等及びその親族に係る地位を定めています。

 

2 告示外定住
告示外定住とは?
定住者告示をもって定める地位を有する者としての活動にあたらないが、「定住者」の在留資格が認められるものをいいます。 ここではご参考までに1から7についてご紹介します。

類型
1認定難民
2離婚定住
3死別定住
4日本人実子扶養定住
5婚姻破綻定住
6特別養子離縁定住
7難民不認定処分後特定活動定住

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1認定難民
法務大臣は、在留資格未取得外国人に対して難民認定をする場合は、入管法61条2の2第1項各号のいずれかに該当する場合を除き、「定住者」(告示外定住)の在留資格の取得を一律に許可します。
入管法61条2の2第1項各号の内容
1上陸後、6ヶ月以上たって申請した人。
2他国を経由してから日本へ入った人
3退去強制事由に該当する人
4刑法犯罪を犯した人

2離婚定住
日本人、「永住者」又は特別永住者である配偶者と離婚後、引き続き日本に在留を希望する者
(子がいないケース)
この類型の実務上の許可要件は次のいずれにも該当する者であることです。

許可要件
1離婚までに日本の中で、婚姻関係・結婚生活がおおむね3年以上継続していたこと
2日常生活に支障のない程度の日本語能力があり、通常の社会生活を営むことが困難となるものではないこと
3生活が維持できる資産又は能力を有すること
4公的義務を遵守していること又は履行が見込まれること

留意点
許可要件1について
・別居していた期間があっても、夫婦としての交流等が継続していれば該当します。
・過去に不法滞在状態であっても、その後、在留特別許可により正規滞在になった場合であれば、許可される可能性があります。
・離婚した場合は、14日以内に配偶者に関する届出を行う必要があります。
許可要件2について
・特定の日本語の試験に合格していることまでは問われません。

この離婚定住類型の場合、結婚から離婚にいたった理由や事情等について詳細に説明する必要があります。また、出入国在留管理庁の職員が、元配偶者から離婚の理由などを聴取することがあります。

なお、配偶者によるDV被害が原因で離婚に至った場合は、「定住者」の在留資格が認められる可能性が高くなります。

3死別定住
日本人、「永住者」又は特別永住者である配偶者が死亡した後、引き続き日本に在留を希望する者
(子がいないケース)
この類型の実務上の許可要件は次のいずれにも該当する者であることです。

許可要件
1配偶者の死亡まで日本の中で、婚姻関係・結婚生活がおおむね3年以上継続していたこと
2日常生活に支障のない程度の日本語能力があり、通常の社会生活を営むことが困難となるものではないこと
3生活が維持できる資産又は能力を有すること
4公的義務を遵守していること又は履行が見込まれること

留意点
1や2の要件については、2離婚定住と同様です。

4日本人実子扶養定住
日本人の実子を監護・養育する者
この類型の実務上の許可要件は次のいずれにも該当する者であることです。

許可要件
1生活が維持できる資産又は能力を有すること
2日本人との間に出生した子を監護・養育している者であって、次のいずれにも該当すること
A日本人の実子の親権者であること
B現に相当期間当該実子を監護・養育していることが認められること

留意点
日本人との間に出生した子を離婚・死別後に日本国内において親権を持って監護養育する場合は、日本人との婚姻期間が3年に満たなくても、定住者への在留資格変更が許可される可能性が高いです。

この類型では、日本人の父と、外国人の母との婚姻関係は要求されません。妻子ある日本人の父の愛人として外国人の母が出産した実子も対象となります。

なお、この類型は、「永住者」や「特別永住者」の実子を監護養育する外国人の親には適用されませんが、外国人の親が「永住者」や「特別永住者」である配偶者と離婚又は死別して、離婚定住、死別定住などの類型に該当した時は、告示外定住として「定住者」の在留資格が認められる可能性があります。

許可要件1について
・仮に外国人の親に事情があって、生活保護を受けていても、将来的に働いてお金を稼ぐ意思を有し、また日本人の実子を監護養育している事実があれば、生活が維持できる資産又は能力を有しないものとは扱われません。

許可要件2Aについて
・日本人の実子については、嫡出、非嫡出は問いません。
・子の出生時点において、父又は母が日本国籍を有している者をいいます。

5婚姻破綻定住
日本人、「永住者」又は特別永住者との婚姻が事実上破綻し、引き続き日本に在留を希望する者
この類型の実務上の許可要件は、次の1又は2に該当し、かつ、3及び4に該当する者です。

許可要件
1日本において、婚姻関係・結婚生活がおおむね3年以上継続していたこと
2婚姻関係・結婚生活が継続後にDVによる被害を受けたと認められる者
3生活が維持できる資産又は能力を有すること
4公的義務を遵守していること又は履行が見込まれること

留意点
婚姻が事実上破綻したとは、婚姻は継続中であるものの、夫婦双方に婚姻継続の意思がなくなり、
相互の協力関係も事実上行われなくなり、その状態が固定化され、関係を修復・維持する可能性がなくなった場合等をいいます。

6特別養子離縁定住
特別養子の離縁により、「日本人の配偶者等」の在留資格該当性がなくなった者(申請人が未成年等のため実親による扶養又は監護が必要となる場合で、扶養又は監護する実親が海外に存在するときを除く)で、生計を営むに足りる資産又は技能を有するもの
この類型の実務上の許可要件は、次の1及び2に該当する者です。

許可要件
1日本において、養親に扶養されていたと認められる者
2生活が維持できる資産又は能力を有すること

留意点
未成年等のため実親又は新たな養親による扶養又は監護が必要となる場合で、日本において、実親又は新たな養親に扶養される場合は、双方とも扶養能力が認められることが必要です。

7難民不認定処分後特定活動定住
難民の認定をしない処分、「難民不認定処分」後、特別な事情を考慮して在留資格「特定活動」により1年の在留期間の決定を受けた者で、在留資格「定住者」への在留資格変更許可申請を行ったもの
この類型の実務上の許可要件は、次のいずれかに該当する者です。

許可要件
1入国後、10年を経過していること
2在留特別許可又は在留資格変更許可により、在留資格「特定活動」の決定を受けた後、3年を経過していること

留意点
・同居する家族一人でも許可要件に該当すれば、家族全員が「定住者」への変更が認められます。
・生計維持能力については問われません。

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