人事制度の見直しについて

外国人を雇用するために、人事制度の見直しが必要であると考えても、それまでの人事制度をドラスティックに廃止したり変更したりすることは、いざ行動に起こすとなると、なかなか難しいのではないでしょうか。
年代や職種によっては、今までの人事制度に満足している方も多いと思われるからです。そうした場合は、いろいろな選択肢を用意して置くことも対応手段として有効です。

例えば、ジェネラリストとスペシャリスト、年功序列型と成果重視型に応じて、給与、賞与などの待遇に差をつけた選択肢を用意して、従業員に選択させる方法もあります。従業員自らが選択することにより、納得感が生まれ、仕事のやる気にもつながる可能性が高いです。

人事制度を抜本的に廃止、変更していく、いかないに関わらず、外国人労働者に納得感を持って仕事をしてもらうために、次のような方策を検討したり、既に実践しているなら、改めて見直してみることをお勧めします。

1 ジョブディスクリプション(職務記述書)の作成
外国の企業では、ジョブディスクリプション(職務記述書)により仕事の範囲が明確にされているケースが多いです。外国人労働者を雇用するなら、ジョブディスクリプション(職務記述書)は作成して準備しておいた方が宜しいでしょう。

<ジョブディスクリプションの内容>
① 肩書、所属部署、直属の上司、勤務地
② 具体的な職務内容
③ 職務の目的、目標
④ 責任、権限の範囲
⑤ 必要とされる知識、スキル、経験
⑥ 部下の管理の有無、等

2 評価基準の明確化
人事評価はイメージではなく、具体的な数値や成果、行動事実に基づく明確な基準を設置することが重要です。協調性、責任感、自主性といった、評価する人によって評価結果が違ってくるような曖昧な評価基準では、外国人も納得出来ないでしょう。

3 評価シートの作成
人事評価シートは、人事評価制度に基づき、目標設定や達成度、その評価について明記した表のことをいいます。単に従業員の能力、業績を評価するだけでなく、人材育成にも影響を与える大切な役割を果たします。外国人労働者向けに、外国語版の評価シートを用意しておくことが望ましいです。

4 評価面接
人事評価の後は、必ず従業員一人一人と面談を行い、評価結果の説明を行う必要があります。そうした機会がなかったり、面談の時間が少なかったりすると、外国人にとって、企業が求めている人材と自分の認識にズレが生じる可能性があり、企業としても外国人の能力を最大限に発揮させることは難しくなります。双方とも、きちんとコミュニケーションを取りながら、お互いの理解を深めていくことが重要となってきます。

5 評価結果の反映
人事評価の結果は、昇給、昇格、インセンティブの支給などで、出来るだけ早く反映させる必要があります。評価と報酬の支払いの間隔が長いと、モチベーションが落ちたり、人事評価に対する不信感につながる可能性が高いと言えます。

6 外国人労働者のための人事担当者を配置
外国人労働者の視点で、キャリア形成を的確に行える人事担当者がいれば、外国人労働者のためだけでなく、組織の活性化に繋がるはずです。人事担当者に外国人社員を登用したり、外国の文化に理解がある日本人社員を登用するなどの工夫も効果があると思います、

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
その他の制度の見直し

1 通年採用の導入
通年採用の導入によって、海外の大学を卒業した日本人や帰国子女の採用も可能となります。

2 ジョブ型雇用(職務別採用)の導入
外国人労働者が取得している在留資格は活動範囲と在留期間が決まっているため、日本の人事制度で、ジェネラリストを育成するジョブローテションの制度では、活動範囲を超えてしまったり、在留期間をオーバーしたりと不都合が生じてしまう人もいるでしょう。
ジョブ型雇用を導入することで、採用した後の職種をあらかじめ決定して募集をすれば、そうした不都合もなくなり、外国人労働者にとっても、企業から求められていることがクリアになり、また、採用する企業側にとっても、外国人の能力を十分に発揮させることが可能となります。

3 長期休暇制度の見直し
日本人なら、夏や正月に長期休暇を取る人が多いですが、外国人労働者は、出身国によって取りたい季節、時期も異なっています。例えば、中国人なら旧正月が2月なので、その時期に休暇を取りたいでしょうし、欧米出身であれば、やはりクリスマスの時期に長期休暇を取りたいでしょう。

企業としては、繁盛期、人繰りなどを考えながら、業務スケジュールを作成しているので、個人の要望を全部聞き入れることは難しいと思います。しかし、そうは言っても、私たち日本人が正月ぐらいは休暇を取りたいと考えているのと同様に、外国人労働者も、同じ気持ちで長期休暇をとりたいと考えています。

毎年のローテーション制にして休暇を取れるようにしたり、外国人労働者に対しては、時期を特定せずに長期休暇を取れるように配慮できれば理想的と言えます。

長期休暇を取りたいときは、出来るだけ早めに申請すること、いない間の引継ぎをしっかりとすることなどのルール化も、当たり前のことですが、重要となってきます。

BACK TOP

TEL電話で相談

048-829-7569

MAIL