◎経営管理ビザ

経営管理ビザ

 

「経営管理ビザ」とは、原則として外国人の方が日本で会社を設立して事業の経営を行う場合や、事業の管理を行う場合などに取得する在留資格です。

経営管理の該当活動
1 日本において事業の経営を開始してその経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動
2 日本において既に営まれている事業に参画してその経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動
3 日本において事業の経営を行っている者(法人を含む。)に代わってその経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動

経営管理ビザを取得できるのは、事業の経営や管理に実質的に参加・従事する人であり、具体的には、

事業の経営に参加する人・・・・・社長、取締役、監査役
事業の管理に従事する人・・・・・部長、支店長、工場長等
が該当します。

経営管理ビザを取得すると、他の就労ビザとは違い事業内容に制限がないため、法律上認められるビジネスであればどのような事業も日本でスタートさせることができます。自らが経営する会社において、制限なく様々な事業を行うことが可能なので、経営管理ビザはとても便利な在留資格と言えます。

なお、業務を執行しない取締役等は、経営管理ビザではなく、技術・人文知識・国際業務のビザを申請することとなりますので注意が必要です。

また外国人が出資をせずに在留資格「経営・管理」を取得する場合には、(例:雇われ社長や役員就任など)、相当規模の会社の管理者になることが想定されています。

 

経営管理ビザの審査基準

在留期間は、5年、3年、1年、6カ月、4カ月又は3カ月
(2015年4月から4カ月ビザが新設されています。)

申請人が日本において貿易その他の事業の経営を開始し、経営管理ビザを申請する場合には以下の要件に該当している必要があります。

1 事業所について
申請に係る事業を営むための事業所が日本に存在すること。ただし、当該事業が開始されていない場合にあっては、当該事業を営むための事業として使用する施設が日本に確保されていること。

2 事業規模について
申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。
イ その経営又は管理に従事する者以外に日本に居住する二人以上の常勤の職員【※】が従事して営まれるものであること。
ロ 資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること。
ハ イ又は口に準ずる規模であると認められるものであること。

【※】日本人、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者

3 申請人の資質について
申請人が事業の管理に従事しようとする場合は、事業の経営又は管理について3年以上の経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む)を有し、かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

 

経営管理ビザ取得のためのポイント

ポイント1(事業所について)
事業が継続的に運営されることが求められることから、バーチャル・オフィス、月単位の短期間賃貸スペース等を利用したり、容易に処分可能な屋台等を利用したりする場合には、要件に適合しているとは認められません。

事業所については、一般的には賃貸物件を利用される方が多いと思いますが、当該物件に係る賃貸借契約において、その使用目的を事業用、店舗、事務所等事業目的であることを明らかにして、賃貸借契約者についても当該法人等の名義として、当該法人等による使用であることを明確にすることが必要です。

自宅兼事務所
住居として賃借している物件の一部を使用して事業が運営されるような場合には、住居目的以外での使用を貸主が認めていること(事業所として借主と当該法人の間で転貸借されることにつき,貸主が同意していること。)、借主も当該法人が事業所として使用することを認めていること、当該法人が事業を行う設備等を備えた事業目的占有の部屋を有していること、当該物件に係る公共料金等の共用費用の支払に関する取決めが明確になっていること及び看板類似の社会的標識を掲げていることを必要とします。

インキュベーターが支援しているオフィス
※インキュベーター(経営アドバイス,企業運営に必要なビジネスサービス等への橋渡しを行う団体・組織)
申請人から当該事業所に係る使用承諾書等の提出があったときは、一時的な住所又は事業所であって、起業支援を目的に一時的に事業用オフィスとして貸与されているものの確保をもって、「事業所の確保(存在)」の要件に適合しているものとして取り扱うこととされています。

ここでいうインキュベーションオフィスは、(独)日本貿易振興機構(JETRO)が運営する対日投資ビジネスサポートセンター(IBSC)等が提供するオフィスを言います。

ポイント2(事業規模について)
上記2のハの「イ又はロに準ずる規模」とは、営まれる事業の規模が実質的にイ又はロと同視できるような規模でなければならないことを意味します。

イに準ずる規模とは、例えば、常勤職員が一人しか従事していないような場合に、もう一人従事させるのに要する費用を投下して営まれているような事業の規模がこれに当たります。この場合の当該費用としては、概ね250万円程度が必要と考えられています。

ロに準ずる規模とは、例えば、外国人が個人事業の形態で事業を開始しようとする場合に、500万円以上投資して営まれるような事業の規模がこれに当たります。この場合の500万円の投資とは、当該事業を営むのに必要なものとして投下されている総額であり、例えば、土地や建物あるいはその賃借料、さらには事務機器代なども含まれます。

また、一般的には,会社の事業資金であっても会社の借金はただちには投資された金額とはなり得ませんが、その外国人が当該借用書について個人補償をしている等の特別な事情があれば、本人の投資額と見る余地があります。

ポイント3(申請人の資質)
ここでの「3年以上の経験」が必要なのは、申請人が事業の「管理」に従事しようする場合であり、経験を必要としない「経営」ビザとは異なりますので、注意が必要です。

日本または外国の大学院において経営または管理に係る科目を専攻して教育を受けた期間は「実務経験」期間に算入することができます。

例えば、大学院において、経営または管理に係る科目を2年間専攻して、修士課程を修了した外国人は、事業の経営または管理について1年の実務経験があれば「3年以上の経験」という要件を満たすことになります。(3年間専攻して、修士課程を終了した場合には、実務経験は不要となります。)

その他のポイント(安定性、継続性)
外国人が経営又は管理に従事する事業が、安定して継続的に営まれているものと客観的に認められることが必要です。

1 赤字決算
事業活動においては、様々な要因で赤字決算となることも多々あります。そのため、入管の審査では、単年度の決算状況を重視するのではなく、賃借状況なども含めて総合的に判断されます。

2 債務超過
債務超過が続くような場合は、資金の借入先を確認されたり、事業の実態、本人の活動実態に虚偽がないかどうか確認されたりします。

3 2年以上連続の赤字
特に、2年以上連続赤字の場合は、本人の活動内容を含め、慎重に審査されます。
具体的には、直近二期の決算状況により次のとおり取り扱うこととされています。

(1)直近期又は直近期前期において売上総利益がある場合
a 直近期末において欠損金がない場合
直近期において、当期純利益があり同期末において剰余金がある場合には、事業の継続性に問題はありません。また、直近期において当期純損失となったとしても、売上総利益があることを前提とし、剰余金が減少したのみで欠損金とまでならないものであれば、当該事業を継続する上で重大な影響を及ぼすとまでは認められないことから、この場合においても事業の継続性があると認められます。
このように、直近期末において剰余金がある場合又は剰余金も欠損金もない場合には,事業の継続性があると認めることとされています。

※直近期:直近の決算が確定している期
※剰余金:法定準備金を含むすべての資本剰余金及び利益剰余金
※売上総利益(損失):純売上高から売上原価を控除した金額
※欠損金:期末未処理損失、繰越損失

b 直近期末において欠損金がある場合
(ア)直近期末において債務超過となっていない場合
事業計画、資金調達等の状況により、将来にわたって事業の継続が見込まれる可能性を考慮し、今後1年間の事業計画書及び予想収益を示した資料の提出を求められますが、その上で、事業が行われていることに疑義があるなどの場合を除いて、原則として事業の継続性があると認められます。ただし、当該資料の内容によっては、中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が評価を行った書面(評価の根拠となる理由が記載されているものに限ります。)の提出を更に求められることもあります。

※債務超過:負債(債務)が資産(財産)を上回った状態(貸借対照表上の「負債の
部」の合計が同表の「資産の部」の合計を上回った状態のこと)

(イ)直近期末において債務超過であるが、直近期前期末では債務超過となっていない場合
債務超過となった場合、一般的には企業としての信用力が低下し、事業の存続が危ぶまれる状況となっていることから、事業の継続性を認め難いものですが、債務超過が1年以上継続していない場合に限り、1年以内に具体的な改善(債務超過の状態でなくなることをいいます。)の見通しがあることを前提として事業の継続性を認めることとされています。

具体的には、直近期末において債務超過であるものの、直近期前期末では債務超過となっていない場合には、中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が、改善の見通し(1年以内に債務超過の状態でなくなることの見通しを含みます。)について評価を行った書面(評価の根拠となる理由が記載されているものに限る。)の提出を申請者に求められ、当該書面を参考として事業の継続性が判断されます。

※直近期前期:直近期の一期前の期

(ウ)直近期末及び直近期前期末ともに債務超過である場合
債務超過となって1年以上経過しても債務超過の状態でなくならなかったときは、事業の存続について厳しい財務状況が続いていること及び1年間での十分な改善がなされていないことから、原則として事業の継続性があるとは認められません。

(2)直近期及び直近期前期において共に売上総利益がない場合
企業の主たる業務において売上高が売上原価を下回るということは,通常の企業活動を行っているものとは認められず、仮に営業外損益、特別損益により利益を確保したとしても、それが本来の業務から生じているものではありません。単期に特別な事情から売上総利益がない場合があることも想定されますが、二期連続して売上総利益がないということは当該企業が主たる業務を継続的に行える能力を有しているとは認められません。したがって,この場合には原則として事業の継続性があるとは認められません。

ただし、増資や他の企業による救済等の具体的な予定がある場合には、その状況も踏まえて継続性が判断されます。

売上総利益(損失):純売上高から売上原価を控除した金額

 

経営管理ビザ取得の必要書類

日本において事業の経営を開始しようとする場合に必要な書類は以下の通りです。

<必要書類>
・資格認定証明書交付申請書 1通
・証明写真(縦4㎝×横3㎝) 1葉
※申請前3か月以内に正面から撮影された無帽,無背景で鮮明なもの。
・返信用封筒
※定形封筒に宛先を明記の上,434円分の切手(簡易書留用)を貼付したもの)              ・パスポートのコピー
・大学の卒業証明書
・日本語能力を証明する書類
※日本語能力試験合格証等
・履歴書及び履歴を証明する資料
・申請理由書(これまでの経歴、起業のきっかけ、出資金の形成過程説明等)
・日本への投資額(500万円以上)を明らかにできる資料
・事業計画書
・損益計画表
・登記事項証明書
※法人の登記が完了していないときは、定款その他法人において当該事業を開始しようとしていることを明らかにする書類の写し
・株主名簿・出資者名簿
・会社名義の銀行通帳のコピー
・会社案内、商品やサービスのパンフレットなど
・事業所の内外の写真
※ビル外観、入口、ポスト、オフィス内、建物の住居表示、フロア別案内板など)
※オフィス内には、机、PC、電話、キャビネットなどが設置されていること
・事業所の賃貸借契約書のコピー
・給与支払事務所等の開設届出書のコピー(税務署の受付印があるもの)
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書のコピー(税務署の受付印があるもの)
・法人設立届出書(税務署の受付印があるもの)
・青色申告の承認申請書(税務署の受付印があるもの)
・法人(設立時)の事業概況書(税務署の受付印があるもの)等

経営管理ビザの申請人が日本で事業の「管理」に従事しようとする場合には、経営管理ビザの申請人が事業の経営または管理について3年以上の経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む)を有することについての証明資料などが必要となります。

上記の提出書類は経営管理ビザの申請においての最低限の必要書類です。申請者の状況によって必要な書類も異なってきます。

 

経営管理ビザ取得の注意点

経営管理ビザについては、日本で会社を設立すれば、自動的に出入国在留管理局で取得できるものではありません。最低限の提出書類に加えて、設立した会社の安定性や継続性を示すために、事業計画書を準備する必要があります。
また会社設立に関しては、通常の商法の規定以外にも入管法の様々な規定も絡んでくるため、不十分な知識でご自身で会社設立をされた場合、後に経営管理ビザを取得できないという状況もよくみられます。
既に、賃貸借で事務所を確保し、取引先が決まり、ビジネスをスタートさせる準備は整っている中で、経営管理ビザの申請が不許可になった場合、それまでの時間をかけた準備が、すべて水の泡になってしまい、金銭的な損失、取引先との信頼を失ってしまう等、損害は多大なものとなります。

そうした損害発生のリスクをできるだけなくすためにも、手続きを始める前に、専門家にご相談されることをお勧めします。

 

 

 

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