配偶者ビザで許可が下りにくい主なケースとその対策

① 夫婦の年齢差が大きいケース
今では、年の差結婚はよく聞く話ではありますが、夫婦の年齢差が大きい場合は入管(入国管理局)から婚姻の信ぴょう性を疑われがちです。特に年齢差が20歳以上であると信ぴょう性は極めて厳格に審査されます。この場合、婚姻の信ぴょう性を強く基礎づけるべく、交際経緯、生活状況などを詳細に説明するべきです。
交際のきっかけ(何回目のデートで、どちらからどのタイミングで告白したのか)、交際の態様(デートに行った場所、共通の趣味、送りあったプレゼント等、コミュニケーションを取るために努力したこと等可能な限り詳細に記載します。)、結婚することになった経緯・理由、現在の生活状況等について当事者にしか語り得ない具体的なエピソードを満載させて詳細に記載し、かつそれを裏付ける資料(メール、LINE、手紙、電話通話記録、写真)をも提出することがポイントとなります。年齢差について本人たちがどのように考えているのかも記載するのも良いでしょう。

 

② 交際のきっかけが恋人紹介所・結婚紹介所等の紹介によるケース
このケースも入国管理局から婚姻の信ぴょう性を疑われる典型的なケースです。
日本人配偶者が実際に外国人申請者の本国に数回訪れたことがあっても、なお婚姻の信ぴょう性を疑われたり、婚姻の安定性を疑問視されたりして不許可になることもあります。
交際のきっかけが恋人紹介所・結婚紹介所等の紹介による場合も夫婦の年齢差が大きいケースと同様に、婚姻の信ぴょう性を強く基礎づけるべく交際経緯、生活状況などを詳細に説明することがポイントとなります。
外国人申請者の本国に訪れた回数(日本人配偶者の旅券・航空チケットの写し、写真等を証拠として提出します。)、そこで外国人申請者の親族に会った事実(写真等)、場合によっては、さらに外国人申請者の親族による上申書(お似合いの二人であるから、在留資格を認めていただき、二人で仲良く日本で一緒に暮らせることをお願いする内容の上申書)を提出することもあります。
手紙・電話・メール・LINE等での頻繁なやりとり(手紙の写し、通話記録明細、メールや・LINE等での頻繁なやりとりのプリントアウト等を証拠として提出します。)、結婚式や披露宴を開催した事実等が特に重要です。

 

③ 日本人配偶者側に外国人との離婚歴あるいは外国人申請者側に日本人との離婚歴があるケース
こうしたケース、特に前婚の婚姻期間が短い場合、偽装婚を繰り返ししているのではないかとの疑念を入国管理局に持たれることがありますので、婚姻の信ぴょう性、婚姻の安定性の立証には特に注意を注ぐべきです。

 

④ 外国人申請者が、婚姻後も風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律が適用される職業を続けるケース(ホステス等の水商売)
こうしたケースの場合、入国管理局から婚姻の信ぴょう性を疑われ、かなり不利益に斟酌される可能性が高いです。「日本人の配偶者等」の在留資格は、入管法上の活動範囲に制限はありませんが、婚姻後も本当に当該職業を続けるのかは当事者間で慎重に話し合った方が良いと思います。少なくても入管管理局は好ましい目では見ていないからです。入管管理局の基本的な考え方としては、「真摯な実体をともなう婚姻関係であるならば、普通は配偶者が水商売を続けることは許さないだろう。婚姻後も水商売を続けることは、ホステスとして稼働続けるため、ビザのための婚姻の可能性がある」というものです。

 

⑤ 同居する住居が狭いケース
同居する住居が狭く、例えばワンルームしかないような場合には、同居の事実が疑われることがあります。子供がいるような場合にはより広いスペースが求められますので注意が必要です。

 

⑥ 再婚禁止期間経過前の婚姻のケース
民法733条は、女は、・・・・・を場合を除き、前婚の解消又は取消しの日から起算して100日を経過した後でなければ、再婚をすることができないと規定しています。この規定に違反した婚姻は、取消事由であって、無効事由ではありません。そして、日本人が外国人と、外国の方式によって婚姻し、その報告的届出が日本の市区役所になされた場合において、当該日本人について、民法733条に記載されている婚姻の実質的成立要件である再婚禁止期間に違反していることがあります。しかし、当該婚姻は既に外国の方式によって一応成立しているため、その婚姻について取消事由があったとしても、市区役所はそのことを理由に報告的届出の受理を拒むことはできません。

したがって、日本人が、日本の民法で定める再婚禁止期間経過前に、外国の方式で婚姻し、その報告的届出を日本の市区役所に行った場合であっても、当該届出は受理され、「日本人の配偶者等」の在留資格該当性が肯定されます。

例えば再婚禁止期間がない国(中国やロシアなど)や民法が定める再婚禁止期間より短い再婚禁止期間を定める国の国籍の外国人女性が日本人男性と離婚し、別の日本人男性と再婚しようとする場合において、民法が定める再婚禁止期間の経過を待っていては、「日本人の配偶者等」に係る在留期限が経過してしまう時は、①外国の方式によって婚姻を成立させ、その報告的届出を日本の市区役所に行うことによって、「日本人の配偶者等」の在留期間更新許可申請を行うことがあります。②その他、先ずは離婚定住類型として「定住者」(告示外定住)への在留資格変更許可申請を行った上で、民法が定める再婚禁止期間が経過して再婚相手との婚姻届が受理された時点で直ちに申請内容変更申出書を提出し、「日本人の配偶者等」に係る在留期間更新許可申請とすることも考えられます。
しかし、①も②も変則的な方法で、想定通りに進捗するとは限りません。

① については、例えば中国の方式での婚姻成立のためには、市区役所が発行した離婚届受理証明書等に係る外務省での公印確認、在日本中国大使館における認証手続及び中国の婚姻登記処への提出等が必要であり、一定の期間を有します。②については、離婚定住類型としての「定住者」への在留資格変更許可申請に係る処分がいつなされるか(処分前に申請内容変更申出書を提出することができるか)も申請人には不明です。

 

従って、再婚禁止期間中に在留期限が経過する場合は、いったん単純出国した上で、「日本人の配偶者等」に係る在留資格認定証明書交付申請を行うことを基本に考えた方が良いでしょう。

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