結婚相手の外国人がオーバーステイ中などの不法滞在者であっても結婚は可能です。
日本の市区町村役場に婚姻届を行い、その後、結婚相手の国の駐日大使館に結婚の報告をすることで結婚手続は完了します。そして、法務大臣より「在留特別許可」が認められた場合には、「日本人の配偶者等」の在留資格を取得することができます。
しかし、当然ですが、不法滞在者である外国人が警察や入国警備官に捕まった場合は退去強制処分になります。
※在留特別許可(法務大臣の裁決の特例)
本来は、退去強制される外国人に対して、法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると判断し、その裁量により与えられる在留許可(「在留特別許可」と呼ばれる)というものがあります。
在留特別許可を受けることによって、非正規在留が合法化されます。
正確には、「在留特別許可」は、不法入国者、不法残留者(オーバーステイ)等の退去強制事由が該当する容疑者からの異議の申出に対する法務大臣の採決の特例として、異議の申出が理由がないと認める場合、すなわち容疑者が退去強制事由に該当すると認める場合であっても、その外国人に対して特別に在留を許可すべき事情があると認める時に、法務大臣がその裁量により与える在留許可をいいます。
なお、法務大臣は、その容疑者が下記の1,2,3,4のどれかに該当する場合には、日本への在留を特別に許可(在留特別許可)することができるとされています。
<該当する場合>
1 永住許可を受けているとき
永住許可を受けているからといって必ず在留特別許可が与えられるわけではなく、在留特別許可の諾否の判断において有利な事情の一つとして考慮されるということを意味します。
2 かつて日本国民として日本に本籍を有したことがあるとき
かつて日本国民として日本に本籍を有したことのある者、すなわち元日本人については、日本社会との地縁関係を考慮して特別に配慮することのできる事由として定めたものです。
典型例
日本人親から出生し、生来的に日本国籍を取得したものが、自らの志望(帰化など)によって外国籍を取得した場合、それによって日本国籍を喪失します。国籍喪失届出を提出しなかった場合、戸籍が除籍されないままになってしまいます。そのような者が、表面的にパスポートを利用して日本人として振舞い、不法入国した場合です。このような事例の場合、在留特別許可される場合には、日本人の子として出生した者として、在留資格「日本人の配偶者等」が決定されることがあります。
3 人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき
人身取引などにより、本国の生活環境から不法に引き離されて、その行動に制限を加えられ自由を奪われた状況下で日本に在留している状態をいいます。
4 その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき
実務上、在留特別許可の類型で最も多いのはこの4になります。具体的にいかなる場合がこれに該当するかは法文上では明らかになっていません。